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    <title>あしたての書庫</title>
    <link>https://ashitate.kashi-hondana.com</link>
    <description>あしたての書庫・小説更新情報</description>
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    <copyright>Copyright ©2026 あしたてレナ.</copyright>
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    <item>
      <title> - 雪だるま</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/739/section/16009</link>
      <pubDate>Tue, 07 Mar 2023 21:11:00 +0900</pubDate>
      <description>春の訪れを感じる今日この頃です。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　ぎゅっ、ぎゅっ……。

　一月のある日、雪が降り積もった道を歩いていると、知らない家の前に大きな雪だるまがつくられていることに気づいた。
　
　数日後、その隣にまた雪だるまが増えていた。
　
　雪だるまは数日おきに増え、最終的に六体の雪だるまが家の前に並んだ。

　季節が流れ、三月。雪が解け始めて雪だるまが崩れてきた。
　
　崩れた雪だるまからは人間の手足がはみ出していた。


　]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - I……</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/725/section/15818</link>
      <pubDate>Fri, 03 Mar 2023 21:11:00 +0900</pubDate>
      <description>それは特別な贈りもの。

※ノベルアッププラス「AI×恋愛短編コンテスト」参加作です。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　透き通った橙色の液体が満たされたガラスの筒の中で、少女は生きていた。身体のあちこちから管が伸び、それは筒の上部から外界へと続いている。管の先はいくつもの機械――それらは常に動き、小さなモニターになにかを映し出していたり、さまざまな彩色のボタンが電子的に光っていたり、ブゥーン……と低い音を鳴らしている――につながっていた。
　日に何度も白衣を着た男性がやってきてはパソコンの画面に文字を打ち込み、少女に話しかけた。
「おはよう」
「おはようございます、博士」
　少女は｜人《・》｜間《・》｜の《・》｜よ《・》｜う《・》｜に《・》抑揚のある話し方で答えた。人工的につくられたとは思えないほど自然な声で。
「調子はどうかな」
「すべて正常に動作しています」
「そうか、それは良かった」
　博士と呼ばれる男性の声を部屋にあるただ一つのマイクが拾い、少女へと届ける。少女の声は部屋のどこかにあるスピーカーを...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - 初恋は夕空の下</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/704/section/15502</link>
      <pubDate>Fri, 10 Feb 2023 21:11:00 +0900</pubDate>
      <description>ノベルアッププラスにて、同じ書き出しで始まる物語を集める自主企画に参加させていただきました。

書き出し
「今でもたまに思い出すのだ。
あの日、見上げた階段の踊り場、夕日に照らされ笑っていたのは誰だっただろうかと。」</description>
      <content:encoded><![CDATA[　今でもたまに思い出すのだ。
　あの日、見上げた階段の踊り場、夕日に照らされ笑っていたのは誰だっただろうかと。

――ねえ！　うけとめて！
　
　翻るスカート、なびく髪。両手をいっぱいに伸ばして、女の子がぼくの胸へ飛び込んでくる。

　それは小学校低学年のときだった気がする。
　当時、父は転勤族というやつで、ぼくは七、八歳にして何度も引越しを経験していた。そのころは古い団地に住んでいて、同じ団地に住む子どもたちが年齢関係なく集まってよく遊んでいた。
　夏の日の夕方、ぼくと同じくらいの年齢の女の子が、西陽が差し込む階段の踊り場で突然ぼくに向かって飛び降りてきたのだ。ぼくは手首を骨折し、女の子は足首を捻挫した。突然のことに驚いて、痛くて、おかしくて、泣きながら笑った。
　あるときは蝉の抜け殻を虫かごいっぱいに捕まえるのに付き合わされたり、あるときは絨毯をつくるからとそこら中から落ち葉を集めさせ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - 「鬼も内、福も内」</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/698/section/15175</link>
      <pubDate>Thu, 02 Feb 2023 21:11:00 +0900</pubDate>
      <description>ぼくの生まれ育った地域には、ある風習がある。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　二月三日、節分――ぼくはこの日がおそろしい。そう話すと、なんだよそんな歳になって鬼がこわいのかと鼻で笑われるから、口にするのは中学生でやめた。
　恵方巻を食べたり豆まきをしたり、子どもが楽しむどうということはない行事だと思う人が大半だろう。だけどぼくにとっては違うのだ。いや、正確に言えばぼくの生まれ育った地域では。

　幼いころ、これはこの地域に伝わる風習だと祖父から教わった。そもそも地域差のある行事だが、ほとんどはほかと変わらないだろう。
　まず福豆を用意する。大豆を炒って枡に入れ、神棚に供える。
　夜になったら玄関や窓を開け、家族全員で豆をまく。奥の部屋から順番に、掛け声をかけながら。このときに「鬼は外、福は内」ではなく「鬼も内、福も内」と言うのだ。きっとほとんどの家庭が前者だと思うが、ぼくの住む地域では後者だった。掛け声自体はどちらでもよいのだが、絶対に間違えてはいけない。
　｜絶...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - りんごのほっぺ</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/681/section/15092</link>
      <pubDate>Tue, 24 Jan 2023 21:11:00 +0900</pubDate>
      <description>記憶は色鮮やかに。

※ノベルアッププラス「冬の5題小説マラソン」参加作です。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　母はわたしの幼いころの話をするとき、決まって弟が産まれた日のことを口にする。
　もう三十年くらい前、当時四歳の誕生日を迎えて間もないわたしは父と共に母のいる産院へ向かった。最も古い記憶として覚えているのがこの日のことで、家族が増えるという出来事が子どもながらに印象強く残っていたのだと思う。
　といっても四歳の記憶なので、母はわたしが覚えていない部分を補うようにして語ってくれた。
　
　幼いわたしと父が母の入院している部屋に着いたとき、室内には誰もいなかった。ピンク色のカーテンと、同じくピンク色の壁。そこに散りばめられた白い花柄模様が可愛らしくて、お姫様やきらきらしたものに夢中だったわたしはピンク色だらけの空間にうきうきしたっけ。
　でも、いくら部屋が可愛いからといってテレビくらいしか娯楽のない場所で四歳児が過ごすには待ち時間が長過ぎた。母を待っていたのはきっと一時間か二時間だと思うけれど...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - 冬美</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/672/section/14928</link>
      <pubDate>Tue, 17 Jan 2023 21:11:00 +0900</pubDate>
      <description>周りはそうでもないかもしれないけれど、本人は気にしている。
ということはよくあるものです。

※ノベルアッププラス「冬の5題小説マラソン」参加作です。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　中学の同窓会で彼女を見たとき、成人式ぶりだけど若いままだなと思った。二十年ぶりに会った同級生たちはもちろん変わらず美しさを保っている人もいたけれどそれは少数で、大半は目尻や口元の皺が目立つようになっていたり、体型が大きく変わっていたり、男性は髪が薄くなっている人もいたり、なにかしらの変化があった。
　彼女も相応に歳を重ねてはいたが、それでも周りと比べると若々しい印象を受けた。
「陽子ちゃん、変わらないね」
　黄金色のシャンパンを片手に、彼女がわたしに笑いかける。
「そっちこそ」
　わたしは同じく笑顔で返した。二十年も会っていないとなると、積もる話が山ほどある。わたしたちはお互いの近況を報告し合い、それから思い出話に花を咲かせた。
　楽しい時間の間に、わたしは違和感に気づく。若々しいと思っていたが、そもそも彼女はこんな顔だったか？　二十年も経っていれば変化はあるだろうし、街中で出会ってもそ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - 冬ざれの夜、きみと眠る</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/665/section/14858</link>
      <pubDate>Tue, 10 Jan 2023 21:11:00 +0900</pubDate>
      <description>自殺するために雪山へ入った主人公は、意識を失いかけたとき美しい女に助けられる。
女との奇妙な生活が始まるが、ある話を聞いて……。

※ノベルアッププラスの自主企画参加作品です。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　先程まで細かな雪が静かに舞っていたと思ったら、いつの間にか凍えるような風が吹きつけて一寸先も見えやしない。視界は真っ白だ。いや、「一寸先は闇」というなら真っ黒か？　もう目を開けているのも辛い。文字通り闇が訪れそうだ。山の天気が変わりやすいというのは本当だな。
　膝が隠れそうなほど積もった雪はおれの前進を阻み、体力を奪うばかり。ろくな装備をしてこなかったために思っていたよりも早く体力の限界がやってきた。全身が冷え切って凍りつきそうだ。手足の先は感覚がなく、うまく動かせない。
　おれはついに倒れ込んだ。白く冷たいクッションが待ち侘びていたように迎える。
　もう動けない。だがこれでいい。もともとこの山には死ぬつもりできたんだ。
　身体に降り積もる雪が温かいとさえ感じるようになったころ、視界になにかが映り込んだ。

　――女だ。

　雪と同じくらい白い肌に、黒く艶やかな長い髪、切れ長な目、薔薇の...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - めごのみさま</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/658/section/14732</link>
      <pubDate>Tue, 03 Jan 2023 21:11:00 +0900</pubDate>
      <description>大凶じゃあ……！

※ノベルアッププラス「冬の5題小説マラソン」参加作です。</description>
      <content:encoded><![CDATA[一、子を絶やしてはならない。
一、婆の命（めい）に背いてはならない。
一、めごのみさまに隠し事をしてはならない。
一、めごのみさまへの感謝を忘れてはならない。

♦︎♦︎♦︎

　かつて、めごのみさまという神様を祀る村が山奥にあった。
　めごのみさまは大きな洞穴の奥で祀られ、誰もその社を見た者はいない。めごのみさまに喰われてしまうのではないかとおそれているからだ。
　めごのみさまを信じていない者はいない。村に住む百歳を越える｜婆《ばば》が、代々、めごのみさまの声を代弁するからだ。
　毎年、師走に子を産ませよ。産まれた子が男児ならば翌年は豊作じゃ。女児ならば凶作じゃ。飢饉を避けたくば産まれた女児を贄とせよ。
　子を絶やしてはならない。めごのみさまは見ておられる。
　婆は若い夫婦に命じた。今年はおまえたちの番じゃ。
　夫婦に拒否権はない。めごのみさまが見ているから。婆の言葉はめごのみさまの言葉...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - 寒い冬には暖炉の前で</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/656/section/14686</link>
      <pubDate>Tue, 27 Dec 2022 21:11:00 +0900</pubDate>
      <description>ある冬の日のワンシーンです。
寒い日には暖かい部屋でぬくぬく、大好きな人と過ごしたいですよね。

※ノベルアッププラス「冬の5題小説マラソン」参加作です。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　静かに雪が降り積もる。丘も野原も真っ白に染め上げられて、世界は閉ざされたようにしんとする。
　橙色の炎が室内を優しく照らし、貴女の座るロッキングチェアが時折りぎいと鳴った。ぱちぱち弾ける乾いた薪と一定のリズムを刻む壁掛け時計の音が心地良い。
　ぼくがそばへ寄ると、貴女は眼鏡の奥の優しい瞳をこちらに向けた。
「今日はいちだんと冷えるわね」
　そうですね。でもぼくは、こんな日がきらいじゃない。まるでこの世界にいるのが愛しい貴女とぼくの二人だけのように感じられるから。
　今年はなにを編んでいるの？
　ぼくの問いかけに、貴女は少し手を持ち上げて編みかけの白いウールを見せた。
「マフラーよ」
　長く編まれたマフラーはもうすぐ完成なのだろうか。貴女の視線が手元に戻るのを見届けて、ぼくは部屋のなかに目をやった。一人で暮らすには広い家。愛しい人たちが去ってしまっても、貴女はこの家に住み続けている。
　子...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>あとがき - 闇鍋屋さん</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/643/section/14575</link>
      <pubDate>Tue, 13 Dec 2022 21:56:00 +0900</pubDate>
      <description>ここは「闇鍋屋さん」。
黒ずくめの店主がお迎えする、選ばれた方だけが辿り着くお店です。
食材は店主のお任せ。
うまく消化できるかはその人次第。

ちょっぴり不思議でこわいお話です。
お好きなメニューからどうぞ。</description>
      <content:encoded><![CDATA[いらっしゃいませ。
「闇鍋屋さん」の店主……ではなく作者のあしたてです。
こんなところまでお読みいただけて嬉しいです。
「愛情仕立て」から「幻影仕立て」まで上から順に読む方が多いのかなと思ったのですが、短編集ですのであえてあとがきを別で設けることにしました。
　
この短編集はわたしが溜め込んでいた小ネタを集めてつくったものです。
題材となっている闇鍋も、元々は数人で闇鍋を囲んで自分の闇を語り合うというネタでした。
なにに使うかも決めずに十年以上放っておかれたネタでしたが、やっと食卓に並べることができました。
そのほかにも妊婦のセリフ、おじいちゃんと孫、訛りのある言葉遣いなど、別のお話を書いている途中に思いついた小ネタをぐつぐつ煮込んだらこんなお店を開くことができました。
闇鍋はなんでもありで楽しいですね！
そういえば学生の頃に闇鍋をやろうという話になり、みんなで具材を持ち寄ったのですが、わ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>幻影仕立て - 闇鍋屋さん</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/643/section/14574</link>
      <pubDate>Tue, 13 Dec 2022 21:55:00 +0900</pubDate>
      <description>ここは「闇鍋屋さん」。
黒ずくめの店主がお迎えする、選ばれた方だけが辿り着くお店です。
食材は店主のお任せ。
うまく消化できるかはその人次第。

ちょっぴり不思議でこわいお話です。
お好きなメニューからどうぞ。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　ここも違う。あそこも違う。あっちも、こっちも。どれも違う。わたしが求めている場所じゃない。

　ふと足を止めると辺りは暗かった。夜だ。わたしは今日も死に場所を探して歩き回っていた。ここのところ毎日だ。気づくと夜で、わたしはまた死ねなかったと項垂れて誰もいない家に帰る。広い家に独り。家族はいない。寂しくて寂しくて、死んでしまおうと決めた。だって｜向《・》｜こ《・》｜う《・》なら、大切な人がみんないる。

　帰る途中、お腹の虫がうるさく鳴いた。持ち主は死にたいのに身体はそうでもないみたい。ため息をついて顔を上げると、目の前に古民家のような建物があった。立看板に「闇鍋屋さん」と書いてある。
「"食材は店主のお任せ"……。食べ物屋さんか……」
　お腹をさすると虫はまた、ぐぅと鳴いた。

　決めた。これを最後の食事にしよう。そのあと電車に飛び込んだっていいし、ビルから飛び降りたっていい。家で死ぬの...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>己惚仕立て - 闇鍋屋さん</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/643/section/14573</link>
      <pubDate>Tue, 13 Dec 2022 21:54:00 +0900</pubDate>
      <description>ここは「闇鍋屋さん」。
黒ずくめの店主がお迎えする、選ばれた方だけが辿り着くお店です。
食材は店主のお任せ。
うまく消化できるかはその人次第。

ちょっぴり不思議でこわいお話です。
お好きなメニューからどうぞ。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「ひいふうみい……こんなもんかよ」
　おれは店の前で自分の財布の中身を確認して舌打ちした。今日の｜勝《・》｜ち《・》は五万。こんなに足繁く通ってたいして出ない、ケチな店だ。まあでもマイナスじゃない。酒を買って、嫁と子どもらには小遣いやれば文句は言わないだろ。｜負《・》｜け《・》｜る《・》とぎゃあぎゃあうるせぇからな。
　パチンコを辞めろだの、いくら使ったんだだのと騒ぐ嫁の顔を思い出し、再び舌打ちした。あいつらは人生は｜勝《・》｜ち《・》ばかりだとでも思っているんだろうか。そんな甘っちょろいもんじゃない。じっくり腰を据えて時間と金をかけて初めて得られるんだよ。

　大通りを抜けて道路が狭くなる。住宅街に差しかかろうというとき、視界の隅に黒い建物が映り込んだ。なんだ、ここは？　入口に小さな立看板を見つけ、そこが店であるとわかった。ちょうどいい。せっかく｜勝《・》｜っ《・》｜た《・》んだからここ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>狂乱仕立て - 闇鍋屋さん</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/643/section/14572</link>
      <pubDate>Tue, 13 Dec 2022 21:53:00 +0900</pubDate>
      <description>ここは「闇鍋屋さん」。
黒ずくめの店主がお迎えする、選ばれた方だけが辿り着くお店です。
食材は店主のお任せ。
うまく消化できるかはその人次第。

ちょっぴり不思議でこわいお話です。
お好きなメニューからどうぞ。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「ねえ、そろそろお腹空かない？」
「うん、なんか食べたい」
「この辺って店あるっけ」
「えーどうだろ」
　友人二人が会話するなか、あたしは道路の反対側に見知った顔を見つけた。声をひそめて二人に話しかける。
「ねえ、あれ見て」
　目線を送ると友人たちはその方向へ首を向けた。
「あ、もしかして｜あ《・》｜い《・》｜つ《・》？」
「じゃない？　あんま変わってないよね」
「一緒にいるの友だち？」
「あいつとおんなじで地味だわー」
「あたしら以外に｜友《・》｜だ《・》｜ち《・》いたんだ」
「なにそれ失礼じゃない？」
　そう言いながらあたしたちは笑い合う。

　｜あ《・》｜い《・》｜つ《・》というのは中学のときの｜遊《・》｜び《・》｜相《・》｜手《・》だ。静かでなにを考えているのかぜんぜんわからなくて、ちょっとからかうとすぐに泣いた。あたしたちはいつもなにかにイライラしていて、ストレスを｜あ《・》｜い...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>葛藤仕立て - 闇鍋屋さん</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/643/section/14571</link>
      <pubDate>Tue, 13 Dec 2022 21:53:00 +0900</pubDate>
      <description>ここは「闇鍋屋さん」。
黒ずくめの店主がお迎えする、選ばれた方だけが辿り着くお店です。
食材は店主のお任せ。
うまく消化できるかはその人次第。

ちょっぴり不思議でこわいお話です。
お好きなメニューからどうぞ。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　作業を終えるとカレンダーで日柄を確認した。うん、間違いなく今日は大安だ。今月の大安はあと三回。その限られた日にちで、二ヶ月後に迫る結婚式の招待状を送らなければならない。できれば大安だと縁起が良いと結婚式場のプランナーさんが言っていた。
　わたしは彼と絶対に幸せな家庭を築きたい。だからあやかれるものにはとことんあやかるんだ。

　封をした招待状をバッグに入れ、テーブルの上を見た。一通だけ、用意したものの出すかどうか迷っている分が置いてある。あと三回のうちに決めたらいいや……。そう思い、アパートを出た。

　郵便局へ向かう途中、古民家のような建物が目についた。招待状を出す以外に急ぎの用事もなかったので、建物の近くへ行ってみることにした。
「闇鍋屋さん」。お店だったんだ。注意書きもおもしろい。なんとなくお腹が空いている気もするし、今日はここで昼食にしよう。

「いらっしゃいませ」

　入店チャ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>悪夢仕立て - 闇鍋屋さん</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/643/section/14570</link>
      <pubDate>Tue, 13 Dec 2022 21:52:00 +0900</pubDate>
      <description>ここは「闇鍋屋さん」。
黒ずくめの店主がお迎えする、選ばれた方だけが辿り着くお店です。
食材は店主のお任せ。
うまく消化できるかはその人次第。

ちょっぴり不思議でこわいお話です。
お好きなメニューからどうぞ。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　朝はきらい。爽やかで、明るくて、人も動物もすべての生きものが活動し始める。朝がきたことを喜んでる。痛みも苦しみも、なにも知らないみたいに。忘れたみたいに。
　
　自動車が何台も走り抜ける。スーツ姿の大人が早足で歩いてる。ランドセルを背負った小学生が友だちとふざけて笑ってる。制服を着た女の子たちがアイドルについて喋ってる。
　
　わたしは……わたしは。そうは、なれない。

　足が重い。お腹が痛い。息が荒くなる。冷たい汗が伝う。せっかく合格した高校には一度も通えてない。毎日、行こうとするけれど、辿り着けた日はない。今日も。

　学校への道を引き返そうとすると、見慣れない建物があることに気づいた。黒くて、古い感じ。なんだろう。

　近くまで行ってそれがお店だとわかった。「闇鍋屋さん」？　変なお店。

　お腹なんて空いていないのに足がお店へ向かってしまう。こんな時間から開いてる鍋屋さんなんてある...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>愛情仕立て - 闇鍋屋さん</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/643/section/14568</link>
      <pubDate>Tue, 13 Dec 2022 21:50:00 +0900</pubDate>
      <description>ここは「闇鍋屋さん」。
黒ずくめの店主がお迎えする、選ばれた方だけが辿り着くお店です。
食材は店主のお任せ。
うまく消化できるかはその人次第。

ちょっぴり不思議でこわいお話です。
お好きなメニューからどうぞ。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　はちきれんばかりに大きくなった腹に手を添えると、触れられたことに気づいたように胎内でぐにゃりと動くものがあった。

「ちょっくら命、懸けてくる」
　そう言って、妻は本当に帰らぬ人となってしまった。

　彼女が残したものは、小さくて軽くてかよわくて、おれがいなければ生きていけないような存在で、それでも腹が減ればこの世の終わりかと思うほどの声で泣く。大きくて重くて愛しいなにものにも代えられない命だった。

　だった、はずだ。

　娘を両親に預け、おれは街を彷徨っていた。
　始めの数ヶ月は泣き声に追われながらあっという間に過ぎ去っていった。数時間に一回、下手すれば一時間に一回はおれを呼ぶ。ミルク、オムツ、寝かしつけ、暑い、寒い、抱っこ、その他諸々……。覚えることばかり、不慣れなことばかり。彼女を生かすことができるのは自分だけだと精一杯やってきた。妻の面影を娘に見つけ、おれを必要とする小さな手に...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>まえがき - 闇鍋屋さん</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/643/section/14569</link>
      <pubDate>Tue, 13 Dec 2022 21:50:00 +0900</pubDate>
      <description>ここは「闇鍋屋さん」。
黒ずくめの店主がお迎えする、選ばれた方だけが辿り着くお店です。
食材は店主のお任せ。
うまく消化できるかはその人次第。

ちょっぴり不思議でこわいお話です。
お好きなメニューからどうぞ。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　ここは腹に闇を抱えた人が辿り着く「闇鍋屋さん」。
　食材は店主のお任せです。
　うまく消化できるといいのですが……。]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - 地獄</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/581/section/13283</link>
      <pubDate>Tue, 18 Oct 2022 21:41:00 +0900</pubDate>
      <description>落ちた場所がどこなのか、予想しながら読んでください。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　おれはつい先程まで、絶壁をのぼっていた。命綱もなしにこんな場所をのぼることができるやつは限られているだろう。

　しかしおれの努力は水の泡となる。頂上に着いたと思ったら面積がほとんどなく、谷底へと落下してしまったのだ。

　からだが腰まで浸かるほどの水がある場所だ。貯水池か？　なんだかわからないさまざまな色合いのものが水面に浮かび、良い香りがする。食欲がそそられ、じゅるりと涎を啜っているうちに足元に違和感を覚えた。

　熱い！　なんだここは！

　水がぐつぐつと煮立っているではないか。まるで釜茹地獄だ！

　そうか！　おれは地獄に堕ちたのか！　ここはうまいものでおびき寄せ、殺す場所だったのだ！

　周りを見ると水面に浮かんでいたものは形が崩れ、どろどろと溶けているではないか。無抵抗に姿を失っていくそれは、何者もここから逃れることはできないと語っているようだった。

　ああ……熱い……熱い...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>彼女の話 - 真実</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/576/section/13204</link>
      <pubDate>Tue, 11 Oct 2022 21:41:00 +0900</pubDate>
      <description>「最近、恋人の様子がおかしい」
「最近、なにかがおかしい」
「最近、友人の様子がおかしい」

その真実を垣間見てみましょう。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　最近、恋人の様子がおかしい。一緒にいてもずっと考えごとをしているようだし、なにかに怯えているみたい。
　先週だって街中を歩いていたら急に立ち止まってきょろきょろと辺りを見回して、しばらくそこから動かなかった。家のなかにいても、ときどきなにかをこわがっているように部屋の隅を見たり、家具の隙間を確認している。
　心配をかけまいとしているのか、わたしにはなにも話してくれない。不安なことや心配事でもあるのか、悩んでいるのか、なにもわからない。わたしに言えない隠し事があるのかと思ったこともあるけれど、彼に限ってそんなことはないと信じたい。
　ただそばで見守って、支えてあげることしかできないのかとわたしまで思い悩んでしまうけれど、彼がいつも申し訳なさそうに隣に立つから、わたしから離れるつもりはない。
　今日は彼の家に泊まる日だけれど、仕事でだいぶ遅くなってしまった。彼はもう寝ているかもしれない。
　...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>彼の話 - 真実</title>
      <link>https://ashitate.kashi-hondana.com/author/page/576/section/13205</link>
      <pubDate>Tue, 11 Oct 2022 21:41:00 +0900</pubDate>
      <description>「最近、恋人の様子がおかしい」
「最近、なにかがおかしい」
「最近、友人の様子がおかしい」

その真実を垣間見てみましょう。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　最近、なにかがおかしい。度々、視線を感じる。外出先でも家のなかでも関係なく、背筋がぞくっとする俺を舐めるような視線。俺はなにに見られているのだろうか。ふと立ち止まって辺りを見回しても正体はわからないし、家のなかを探ってもわからない。こうなった原因もわからない。
　視線を感じるようになったのは二週間くらい前からだ。
　いつもと同じように満員電車に揺られ、見ず知らずの人たちとくっつき合いながら会社へ向かった。知らないオヤジには不快な顔をされ、知らないOLには恥ずかしそうな顔をされる。みんなくっつきたくてこんなにくっついてるわけじゃないだろと朝から憂鬱になっていた。
　会社へ行けば上司には理不尽な文句をつけられるし、後輩のミスはカバーしてやらなけりゃいけない。いつも板ばさみの俺は休憩時間のコーヒーと彼女のメッセージが癒しだ。
　帰りも朝と同じように電車に揺られ、コンビニで缶ビールとつまみを買っ...]]></content:encoded>
    </item>
  </channel>
</rss>
